2009年11月26日木曜日

地産地消から日本の農業を考える

東京八王子の道の駅で、地元農家の生産した野菜の直売所が大繁盛している。
この直売所の年間来客者数は約106万人、総売上額は10億円を超える。
平均にして1日約3000人のお客が訪れ、1人当たり約1000円をこの直売所で消費していく計算になる。

日本の農業の衰退が叫ばれている。
カロリーベースで約40%しか自国で供給できていない日本の農業は、異常気象や有事の際に国際貿易が機能しなくなってしまった場合のリスクの観点から食糧自給率の向上が必要不可欠である。
しかし少子高齢化による農業人口の減少や、補助金政策によって競争力を失った日本の農業は、その回復に向けた道はいまだはっきりしない。

そういった中、今注目を集めているのが地産地消の農業モデルである。
「地元で作られた農作物を、地元で消費する」
この思想を実現化した一つのモデルが、野菜直売所である。

これまでの農家は農作物を生産することのみ考え、決められた量を生産さえしていれば農協が引き取ってくれるので、販売まで考える必要は無かった。
しかし、野菜直売所では旧来の構図が全く適用されない。
農家は生産量を自分で決め、野菜直売所まで自分で農作物を運び、陳列し、値段を決める。
消費者は生産者の顔が見えるので安心して農作物を購入でき、農家はそれに応えられるように丹精を込めて、責任をもって生産を行う。
これが地産地消型の農業であり、これからの日本の農業が目指すモデルになり得る。

コメを巡る日本の農政も、地産地消型の野菜直売所に学ぶところが多いのではないだろうか。
日本のコメ農業が衰退した最も大きな原因は、全農や農協による生産と消費の隔離にある。
政府による減反政策によって、日本の農家は約4割の生産を減反している。
この4割の生産を喚起するだけで、日本のコメ農業の状況は一気に好転する。
しかし国内のコメ需要は不足しており、このままの状況で生産のみを拡大したら需要が追いつかずコメ価格は低下し、農家は採算が採れなくなってしまう。
日本の農業にはまだまだ供給力余剰がある。
そんな今こそ、供給面ではなく需要面からのアプローチが必要なのである。
これからの日本の農業は、消費者の需要が引っ張っていく。
経済学における 「セイ法則」 とは逆の主張になるが、「需要があるところには供給が生まれる」 のである。
具体的でないのであまりこの言葉を使いたくないのだが、今の日本には、農業モデルの 「抜本的改革」 が必要である。

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